いとたけ考 その2 ~金子 慎の随筆~
こんにちは、金子です。長かった免許合宿を終えて、免許証とともに現実世界へ戻ってきました。そしたらなんか2年生になってたんですね!(え?見た目は2年生に見えn…)
いや~びっくりしました。
そして、いよいよ後輩が入ってきます。他大ではすでに新歓イベントが始まっているようですね!
ということで、今回は前フリに全く関係ない古曲の魅力その2を綴っていきたいと思います。(まあ新歓系の記事は他の誰かがやってくれると信じて…)
今回は曲中心に紹介したいと思います!
僕が好きな曲の一つは秋風の曲(光崎検校作曲)です。この曲はメロディーがとっても上品で、美しいんですよ!曲の舞台は長恨歌で知られる玄宗皇帝と楊貴妃です。比翼連理*1のもとになった二人ですからね!ステキです。
しかし秋風の曲は前半部分ほとんど唄がありません。箏が美しいメロディーを奏でるのです。唄がない部分ですでにアイデンティティができているって感じでしょうか。その証拠に、箏曲家の深海さとみさんが「秋風幻想」という曲を作曲されています。この曲は簡単に言うと、秋風の曲の唄がない部分をまとめたスタイルです。唄が苦手という人は秋風幻想から入ってみるのもいいと思いますよ!現邦において〇〇幻想といった、古曲をモチーフとした曲も意外と多いのです。
尾上の松(作者不詳)もいいですね~。この曲はもともと作者不詳の三絃の曲ですが、大正時代に宮城道雄が箏と尺八の手付けをし、華やかな三曲合奏のものになりました。スタイルは古曲ですが、箏と三絃がばらばらに動いたり、後唄が手事並みの速さであったりするところに宮城曲の特徴が見られます。この曲の面白い点は、尺八奏者が演奏するとき、楽譜通りにやる人がほとんどいないということです。つまり、自分オリジナルのアレンジをして演奏しているんですね。演者によって違いが大きいので、いろいろな人の尾上の松を聴くと面白いです。(今まで聴いた中で一番アレンジしているのは藤原道山さんでした)
最後は郭公(山田検校作曲)です。この曲は山田流の曲で、読み方は「ほととぎす」です。生田流には「時鳥の曲」というのがありますが、別物です。短めの曲ですが、実はこの曲、手事の途中に替手が六段の初段を弾くという仕掛けがあるのです。もちろん本手のほうは六段を全く彷彿させないメロディです。不思議なことに所々で音が合うようになっていて、きれいな合奏になるんですね。すげ~! ちなみにこの六段は壱越*2の六段です。耳を澄まして聞いてみると六段が聴こえてくるはずですよ!
このように古曲には遊び心や物語性といった奥深いものが隠れています。この良さに気付くと、古曲のみならず、邦楽すべてが違って見えてくるはずです!(古曲編 完 )